黒毛和牛一貫飼育
INTERVIEW

黒毛和牛一貫飼育

牧舎みねむら 代表 峯村誠太郎さん

http://cowshed-minemura.com/
富士山・中央、北アルプスも見える長野県東御市の標高900m南斜面。のどかな里で湯の丸高原原水の水道水、天日干し地元産の稲わらを食べてのびのびと育った牛は、噛むほどに味わい深い。全国でも珍しい全頭一貫飼育の純信州産の牛を育てている。

インタビュアー
景観が素晴らしいですね。
峯村さん
だいたい920メートルくらい登った位置にあります。広大な景色と自然豊かな環境がおいしい牛を育みますので、自然を全身で感じられるこの場所だからこそおいしい信州峯村牛が育つんです。
インタビュアー
牧舎みねむらの飼育について教えてください。
峯村さん
1982年に両親が牛飼いをはじめて30年。私が牧場を2010年に引継ぎました。 当牧場は、黒毛和牛を人工授精から分娩、育成、肥育、出荷と完全一貫飼育をポリシーとしています。 1頭1頭と向き合い、信州で生まれ育ち、美味しく安全・安心な牛肉生産に努めています。
インタビュアー
牛がいくつかの場所に分かれていますね。
峯村さん
まずこちら、今朝生まれたばかりの牛がいます。深夜はカメラで観察しながら早朝に生まれました。また、こちらに離されている牛たちはこれから産む初妊牛の牛たちです。牛は、2頭くらい産んだ後だと味も変わりとてもおいしいんです。逆に、5,6頭産んだあとだと味はまた変わってしまいます。その味の違いに詳しい方の中には、経産牛の方が好きな人もいます。
インタビュアー
こちらの牛は小さくて可愛いですね。
峯村さん
この辺りはだいたい生まれてから3ヶ月くらいです。牛は3ヶ月までが最も育てるのが難しいんです。抵抗力が弱いし下痢もしやすいので、こまめに毎日お世話して観察してあげることが大切です。この辺りは、私の妻や従業員の女性目線の頑張りで、きめ細やかな飼育をしてもらっているお陰で病気もなく健康に成長させることができています。
例えば、極端に様子が悪い牛は人工のミルクで育てますがそれ以外は基本母乳で育てます。また、群れの動物なのでこのように柵の中に数匹で飼い、集団行動になれさせています。毎日顔色などをちゃんと確認をし、少しでも変わった様子がないかをチェックしています。
インタビュアー
牛も人間の子どもも、同じなんですね。
峯村さん
そうですね、例えば、寒い日に産む牛は体が冷えないように、チョッキを着せ、レッグウォーマーを履かせてあげたりと、本当に人間と同じような配慮が必要です。
インタビュアー
それだけ手がかかり目が離せないここのお仕事、何人でやっていらっしゃるんですか?
峯村さん
妻と女性従業員と私の3人が基本こちらの牧舎で牛を育て、店舗にも1人います。ですので、一頭でも病気すると3人では回らなくなってしまうので、余計に毎日の観察が大切。基本休みはないので、本当に好きじゃないとできない仕事かと思います。
インタビュアー
それでは、少し体が大きくなってきたあちらの牛はどのくらいですか?
峯村さん
3ヶ月の子牛たちが成長してきたころ、こちらの場所に変えます。角を焼いて危険がないようにしたりするのもこの時期です。でも、牛は繊細な動物なので、このように場所を変えるだけでも大変なストレスに繋がります。ここは場所の都合でそのようにはしていますがそれ以外のストレスをなるべく与えないように配慮しています。例えば、一つの枠の中に4頭以上いるとストレスがかかってしまうので、それ以上にならないように調整もしています。
インタビュアー
牛は本当に繊細なんですね。小さいこと育てるのも大変とのこと、特徴でもある「一貫飼育」を行っているメリットはどこにありますか?
峯村さん
一貫以外のところは、基本「繁殖業者」と「飼育業者」で分かれています。3ヶ月までをきちんと育てていることができれば、この先はあまり手がかからず健康に育つことができます。ですので、どちらかというと繁殖業者より飼育業者は手がかからないんです。
メリットとしては、子牛を買わなくていいということにあるかと思います。今はだいたい子牛1頭で60-70万くらいするので子牛が高い時期は大変になります。高い値段で買っても、例えば霜降りの状態が良くない場合などは高く売れず、赤字になってしまったりもあります。そのあたりは、一貫でやっているからこそ、生まれてからずっと見ているので病気はストレスはないかを知ることができるのでその方が良いものを育てられると思います。
インタビュアー
ではこの大切に育てたれた牛たちはどんなものを食べているんですか。
峯村さん
先代がここを始めましたが、その頃と飼い方がだいぶ変わっています。
今の餌は、牧草とわら中心に穀物を増やして筋肉を増やすようにしています。例えば小さい頃にあげすぎてしまうと余分な脂肪がついてしまうのでそうならないように微妙な加減で成長に合わせて餌を調合しています。
インタビュアー
Nikkoフーズの工藤総料理長も舌をうならせたこの峯村牛のおいしさの秘訣はなんですか
峯村さん
無理に霜降りを作ることを優先せずに、健康の条件でもある「よく寝て・よく食べて」をいかにストレスなく牛が快適な環境でできるかをサポートする、それが実はおいしさへの一番の秘訣です。
また、餌に使っている藁も決まった農家さんから仕入れていますが、上質な藁のみを食べさせています。また高原野菜なども食べさせ、良質な堆肥をつくることで、それをまた農家さんに提供する、その循環です。あとは、お米農家さんから籾殻をいただいていますが、国産のものがなければ中国産のものをあげる牧舎もあると思います。
インタビュアー
餌へのこだわりもよくわかりました。こちらの牛、ずいぶん大きいですね。出荷間際ですか?
峯村さん
そうですね、こちらにいるのは仕上げの時期20-28ヶ月くらいの牛たちです。出荷間際にもなると迫力もあり、顔の大きさもだいぶ変わりますね。和牛はこの10年でだいぶ血統が変わってしまったので仕上がりも早くなってきているんです。
この時期は、お肉をつけるだけの仕上げなので最低限の運動をしています。
小さくもこの時期でも、日々の観察と寝床の処理が一番大切な仕事になります。
インタビュアー
本当に立派で圧倒されますね。
峯村さん
大きな声で泣いている牛、これは発情の時期を表しています。牛はおいしさのためにも、優秀な牛になるためにも、血統がとにかく大事です。元々の血統でどのように成長するのかも全てわかります。近年、近親交配をしているところもあるようですが、うちはなるべくそういうことはしないようにしています。
インタビュアー
Nikkoフーズ工藤総料理長含め、プロが惚れ込んだ信州峯村牛、多くの方に食べていただきたいですね。
峯村さん
うちの牛を口にしてくださった工藤総料理長が「おいしい」とプロの目と舌で認めてくださり、魂込めて育ててきた私にとって喜びでもあります。
インタビュアー
峯村さんの牛に対する愛情はホームページを見てもよく伝わります。愛情たっぷり育った牛たちは本当にいい目をしていますね。最後に、信州峯村牛をこれから食べるみなさんにメッセージをお願いします。
峯村さん
愛情込めた牛たちなので、味に自信があります。その牛を認めてくださった工藤総料理長の腕でこの牛がさらにおいしくなってみなさんの口に届いているのかと思うと嬉しいです。これからも牛たちと共に、寄り添い、成長を見守り続けたいと思います。

生産者プロフィール

峯村誠太郎さん

牧舎みねむら 代表峯村誠太郎さん

1982年に両親である先代が牛飼いをはじめて30年。現在の峯村さんが2010年に引継ぐ。黒毛和牛を人工授精から分娩、育成、肥育、出荷と完全一貫飼育をポリシーとし、1頭1頭と向き合い、信州で生まれ育ち、美味しく安全・安心な牛肉生産に努める黒毛和牛一貫飼育をしている。

峯村誠太郎さん
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